森の書庫

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必要十分生活~少ないモノで気分爽快に生きるコツ~/たっく

最近、新生活が始まったので、それにちなんだ本を挙げてみます。

引っ越しで予想外の荷物に狼狽し、新生活で足りない荷物で慌てる。

そんな経験から、ミニマリストへの憧れを強くしました。

 

「必要十分生活~少ないモノで気分爽快に生きるコツ~ たっく」

 

著者のたっく氏は30代の男性会社員で、本書は元々電子書籍として製作されたものが好評を博して書籍版が出版されるに至ったようです。
氏は独自の哲学でモノを減らした「必要十分生活」を送っているようで、本書はそこに至る思考の流れとルールをわかりやすく解説していました。

著者は元々はモノに囲まれて、カオスな日常を過ごしていました。
しかし物事を常に問題意識を持って突き詰める理系的な気質を持っていたようで、ある時「どうすれば整理整頓が可能になるのか」を思考し、その結果「必要十分なモノだけを選択すればよい」という結論に至りました。
そのために「モノは日常で頻繁に使うものだけを厳選する」「使う道具の住所を決めて、使用した後はそこに戻す」の二点を徹底しました。
そして数年がかりで日常生活を調整した結果、身の回りのモノは激減し、日常生活の快適さも大幅に向上しました。
特に整理整頓を徹底したので、迷子のモノを捜すことがなくなり日常の動線がスムーズになり、毎日の掃除がラクになって極上の爽快感が味わえるようになったとしていました。

昨今は片付け、断捨離、ミニマリストがブームとなり、書籍も数多く出版されています。
本書は著者の哲学を理詰めで解説するという類書とはちょっと異なる視点が提示されていて読み応えがありました。

帰してはいけない外来患者 /前野哲博

重篤な疾患を見逃さないために

本書は後期研修医へのテキストとして編集されたもので、重篤な疾患を見逃さないための診断のポイントがわかりやすい形で整理されていました。
執筆者は熟練の臨床医と後期研修を終えて若手の医師によるチームで行なわれていて、読みやすいように様々な工夫が見られました。

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健康不安と過剰医療の時代 /井上 芳保

社会学から見た過剰医療

著者は社会学を専門とする研究者です。
本書は著者の専門とする社会学を切り口にしながら「過剰医療という問題」に切り込んだものです。

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神はいずこに: キリスト教における悟りとその超越 /バーナデット ロバーツ

無限を旅するための地図

著者のバーナデット・ロバーツはカトリック家庭に育ち、幼い頃からキリスト教的な世界観を身近に感じてきました。
思春期の10年を修道会で過ごし、後に還俗して大学進学、結婚と子育てを経て、現在は一介の主婦として生活します。
本書は彼女が幼少期から長い時間をかけて深めてきた観想により、深淵の深みに立った経験を段階を追いながら説明したものです。
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転生者オンム・セティと古代エジプトの謎/ハニー・エル・ゼイニ

砂漠を吹き抜ける風

 著者のハニー・エル・ゼイニ氏はエジプトの実業家で、本書は古代エジプト巫女だったとする英国人オンム・セティ(セティの母の意味)の数奇な生涯を描いたノンフィクションです。
ハニー氏はオンム女史の友人で、浮世離れして世間のことに関心の薄かったオンムを物心共に支え続け、彼女が秘した日記を譲り受けた人物で、それゆえにオンム氏の内面に深く切り込んだ本書を執筆できたようでした。

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奇蹟のドクター―世界的な治療家の記録/ E・G・フリッカー

稀代の英国ヒーラー

著者は20世紀のイギリスで活躍したヒーラーのE.G.フリッカー氏(Edward George Fricker:1910ー)です。
本書は同氏が綴った自伝の翻訳版で、82年に出版されました。

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薬なしで生きる ~それでも処方薬に頼りますか~ /岡田 正彦

著者の岡田氏は新潟大学医学部の教授で、医療統計学を専門としています。
本書は、専門である統計学を駆使しながら「薬が本当に効果があるのか」を検証していました。

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〈神道〉のこころ/葉室 頼昭

著者は形成外科医から宮司に転身を果たした特異な経歴を持つ方です。
生家である葉室家は藤原家の末裔にあたる伝統的な公家で、そのため著者は戦前の学習院に在籍していました。
その後は阪大医学部に進学して形成外科医になり、当時は日本に1人しかいなかったという形成外科医に師事して技術を学び、卓越した形成術をマスターしました。
しかしそれだけに飽き足らず東洋医学も学び、東西両医学を駆使しながら多くの患者を助けていました。
そして導かれるように神職へと転身して春日大社宮司となり、2009年に帰幽されました。

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魔法入門 /W・E・バトラー

著者はイギリス人のW.E.バトラー氏。
氏はイギリスで伝統的に伝わっている薔薇十字団やイスラエルの正統的な魔術を受け継ぎ、インドやカバラの技法も身につけて、新たな体系を構築した稀代の魔術師です。
本書は西洋世界の魔法とはどういうものか、そしてその世界に触れる方法の一端を紹介していました。

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