森の書庫

読んだ本のレビューを残しています。

〈神道〉のこころ/葉室 頼昭

著者は形成外科医から宮司に転身を果たした特異な経歴を持つ方です。
生家である葉室家は藤原家の末裔にあたる伝統的な公家で、そのため著者は戦前の学習院に在籍していました。
その後は阪大医学部に進学して形成外科医になり、当時は日本に1人しかいなかったという形成外科医に師事して技術を学び、卓越した形成術をマスターしました。
しかしそれだけに飽き足らず東洋医学も学び、東西両医学を駆使しながら多くの患者を助けていました。
そして導かれるように神職へと転身して春日大社宮司となり、2009年に帰幽されました。

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魔法入門 /W・E・バトラー

著者はイギリス人のW.E.バトラー氏。
氏はイギリスで伝統的に伝わっている薔薇十字団やイスラエルの正統的な魔術を受け継ぎ、インドやカバラの技法も身につけて、新たな体系を構築した稀代の魔術師です。
本書は西洋世界の魔法とはどういうものか、そしてその世界に触れる方法の一端を紹介していました。

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あるがままに生きる / 足立 幸子

著者は元々インテリアのデザイナーとして活躍していましたが、何かに導かれるようにして絵を描き始めました。
学校で学んだり、誰かに師事していたわけではなく、本当に突然書き始めたようです。
しかしその絵には時に人を癒し、モノを変化させる不思議な力があったことから個人的な依頼が殺到し、デパートでの個展や講演活動を行なっていましたが、残念なことに93年に脳梗塞で帰幽されました。

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シッダールタ /ヘルマン ヘッセ

本書はヘルマンヘッセによる、1人の青年が覚者への道を歩む姿を描いた物語です。
シッダールタという主人公の名前からてっきり「釈尊」の伝記だと思ったのですが、主人公は別人で、釈尊とは物語の中で一度だけ魂の邂逅を果しています。
以下、ネタバレを含みますので未読の方はご注意下さい。

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瞑想のススメ 山田 孝男

著者は18歳の頃から瞑想について探求した人物で、本書は74年に出版されたものを改訂して99年に発刊された分にあたります。
当時は精神世界を扱ったものは非常に少なく、その完成度の高さからロングセラーとなって版が重ねられたということです。
これまで瞑想というと「心を落ち着けるテクニック」という程度の知識しかなかったのですが、本書を読んでその奥深さ、深淵さに圧倒されました。

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身体症状に「宇宙の声」を聴く―癒しのプロセスワーク /アーノルド ミンデル

著者のアーノルド・ミンデル氏は米国で物理学と心理学を学び、シャーマニズムやタオイズムなどにも深く精通した人物のようです。
そしてミンデル氏は本書の中で、何らかの症状を持っている病者を出発点にして、人間を多面的に捉えるという新たな視座を提示しています。

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ベロボディアの輪―シベリア・シャーマンの智慧 /オルガ カリティディ

著者のオルガ・カリティディ女史はロシアの国立病院に勤務する精神科医で、現在はアメリカに在住しているようです。
本書は病院勤めをしていた著者がシベリアにあるアルタイ地方のシャーマンと関わりを持つことになり、葛藤しながらもヒーリングの力を学び取っていくというもので、ノンフィクションの形式をとっています。
なお表題の「ベロボディア」は、アルタイ地方のどこかにあるという伝説の聖都の名前です。

著者は94年当時に30代で、ロシア中央に位置するノボシビルスク国立病院で、精神科医として勤務していました。
ある時、連邦内のアルタイ地方の若者ニコライが患者として来院してきたことが、運命を変えるきっかけとなりました。
不思議な力に導かれるようにして若者の故郷に訪れ、シャーマン「ウマイ」との邂逅を果たします。
そこで不可思議な出来事を経験し、次のような神秘的な啓示を授けられました。

「この世界は幻で、現実とは自ら意図して創造したものであるにすぎない。
 人は生きている間に、現実と自分自身を完璧に作り上げなければならない。」

啓示を達成するためには、人生で行う選択が意識的になされなければなりません。
具体的には、真理、美、健康、幸福、光の全てが揃うというものです。
この選択を続けることで、心の奥深くの「精霊の湖」にいる「魂の双子」という「真の自己」との統合が進みます。
その結果、周囲の雑音に煩わされず、超然として態度で人生に臨めるようになるとしていました。
また「魂の双子」には治療者・教師・戦士など7つの性質があって、「胸のあたり」に存在していることなども印象に残りました。
他にも著者の精神科医としての仕事に関連する啓示もありました。
たとえば人が狂気に至る理由は、「魂の一部を失うこと」と「外部の精神体から寄生的な憑依を受けていること」の2つを挙げていました。
こうした啓示を受けて著者の治療は変わって行き、劇的な回復へと患者を導いていきました。
そして終盤になると、彼女に起こった全てのエピソードは壮大な「ベロボディア」という物語を紡ぎあげてきた、という気付きを得ます。

本書で語られる物語は、訳者あとがきにもあるように南米のシャーマン世界を描いた「カルロス・カスタネダの著作」とよく似た世界観だと感じました。
著者は本書で描かれた気付きを元に、世界のシャーマンを訪ねるなど真理の探究は今なお続いているようです。
著者の「その後」は英語版の「The Master of Lucid Dreams」などにあり、読んでみたいところです。