森の書庫

読んだ本のレビューを残しています。

伝統医学

〈神道〉のこころ/葉室 頼昭

著者は形成外科医から宮司に転身を果たした特異な経歴を持つ方です。生家である葉室家は藤原家の末裔にあたる伝統的な公家で、そのため著者は戦前の学習院に在籍していました。その後は阪大医学部に進学して形成外科医になり、当時は日本に1人しかいなかった…

明るいチベット医学/ 大工原 弥太郎

大工原 弥太郎 (1944ー)はチベット医学僧として活躍した日本人です。本書は実践者の目を通してチベット医学を語ったものです。

急性期 漢方マニュアル/ 中永士師明

急性期に使う漢方薬 著者は秋田大学の医師、中永 士師明(なかえ はじめ)氏です。本書は急性期に用いる漢方処方を解説したものです。中永氏は89年に奈良医大を卒業後、救急部でキャリアを重ねました。漢方は慢性疾患に使うことが多く、救急に在籍する著者…

新しい鍼灸診療 第2版 /篠原 昭二

新しい鍼灸の医学を作る 本書は2006年に発行された『新しい鍼灸診療』の改定第2版です。鍼灸医学について伝統、現代、気の3分野を網羅的に取り扱ったテキストで、編集担当を増員して新たな項目を追加・改定していました。本書は「新しい鍼灸医学を再構築す…

漢方治療44の鉄則―山本巌先生に学ぶ病態と薬物の対応 坂東 正造

病名漢方という概念 漢方の名医と言われた故「山本厳医師」の漢方処方の理論を、弟子の坂東医師が著したものです。山本氏は日本漢方、中医、現代医学の3つの分野を広く学び、独自の理論を構築して治療に当たっていました。本書では病態にあわせて山本氏が処…

病気を治せない医者 現代医学の正体に迫る /岡部 哲郎

現代医学の現状と中医学のススメ 著者の岡部哲郎氏(1948ー)は東西両医学に精通した医師で、現在は開業して自由診療で治療を行なっています。 本書は著者の経験を踏まえて、真の医学のありようを提案したものです。 著者は高校時代に難病を患ったことか…

中医臨床のための中薬学 /神戸中医学研究会

生薬を入り口にして発展的に中医学を理解する 著者は長年、中医学を研究している「神戸中医学研究会」のグループです。本書は中国伝統医学を、「生薬」という観点からまとめたものです。「神戸中医学研究会」は、中医学がほとんど知られていなかった1970…

昭和鍼灸の歳月/上地 栄

☆☆☆☆ 黎明期の鍼灸 鍼灸の一流派である「経絡治療」について調べている時に参考にした本です。 著者は鍼灸師の上地 栄(かみち・さかえ)氏(1920−98)です。 本書は、昭和初期に経絡治療を作り上げたグループの軌跡を描いていました。 上地氏は沖縄で生まれ…

鍼灸老舗の人々/上地 栄

☆☆☆☆ 関西鍼灸の歴史 明治から昭和にかけての鍼灸の歴史に興味を持って読んだ本です。 著者は鍼灸師の上地 栄(かみち・さかえ)氏(1920−98)です。 本書は、明治期から昭和にかけて活躍した西日本地区の鍼灸師たちの実像をまとめたものです。 上地氏は沖縄…

中国医学はいかにつくられたか/山田慶兒

☆☆☆☆ 中国医学はいかにつくられたか 中国医学の歴史を調べていて手にとった本です。 著者は科学史を専門とする山田慶兒(けいじ)氏(1932−)です。 本書は中国医学の歴史を概観したものです。 科学と歴史に精通した専門家が語る中国医学史 山田氏は京都大学…

鍼灸院治療マニュアル/浅野周

☆☆☆☆ 中国鍼灸のテキスト 著者の浅野周(あさのしゅう)氏は中国系の技法を習得した鍼灸師です。 本書は著者の実践する鍼灸術を体系化したマニュアルです。 著者は87年に鍼灸師免許を取得後、中国に留学して臨床を学び、帰国後もその技術を磨いてきました…

癒しの医療 チベット医学―考え方と治し方 /タムディン・シザー ブラッドリー著

☆☆☆☆ チベット医学を概観する 著者は英国在住のチベット人女医タムディン・シザー・ブラッドリー氏(1964ー)です。本書はチベット医学を初学者向けに解説したものです。 ブラッドリー女史は、チベット暴動後に両親が移り住んだ南インドで生を受けました…