森の書庫

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メッセンジャー /キリアコス・C・マルキデス

キプロス島に住んでいた世界的なヒーラー「スティリアノス・アテシュリス(1912年 - 1995年)」氏(本文ではダスカロス=先生の意味、と呼ばれる)へのインタビューをまとめたものです。
ダスカロスはヒーラーとして傑出した実力はあったものの、表に出ることを好まずひっそりと暮らしていました。

そのため長く「知る人ぞ知る」状態でしたが、本書が世に出てから広く知られるようになったようです。

 


本書ではヒーラーとして活躍する日々を描く一方で、カルマ、チャネリング、チャクラなどスピリチュアル用語について語られていました。
その中でも意志により生み出されて人や環境に対して影響力を持つ「エレメンタル」という力、離れた場所に自分の分身を一瞬で作り出す能力などは、それぞれカスタネダが語る「意図の力」「分身」、道家である高藤聡一郎氏の言う「人を超えたある種の働き」「陽神」などと似ていて、興味深いものでした。
他にも「四次元世界では細胞は【それぞれ】が直感のように印象を受け取る。その世界では距離は関係なく、意識を向けるとすぐに対象に繋がる」などは日本のカタカムナの世界観にもよく似ていました。
ダスカロスはこれらを様々な例を挙げながらユーモアたっぷりに語り、その内容は借り物でない、オリジナル性の高いものばかりで驚かされました。

個人的に印象に残っている部分は次のようなものです。
・本当の祈りは『〜しますように』という言葉ではなく、
 行動・想念などを通じて聖なる存在への感謝を示し続けることなのだ。
 そもそも聖なる存在と波長があっている時には祈りに時間を割く必要すらない。
・ヒーラーは誰かを助けたいと本心から思った時に治癒のエネルギーを生み出す。
 治癒の効果はすぐには現れないこともあるが、それは患者のオーラに残り、
 時が来れば活性化して治癒へ導いてくれる。

・疑り深い人間に奇跡を披露しても、自分が本当に真理を求めるまでは無駄だ。
 真理を求めたなら自ずと師との縁が結ばれる。
 だから好奇心でやってくる人に真理について説明する必要はない。

・人生は、目の前で通り過ぎていく印象を受け止め、解釈をする作業に他ならない。

本書で語られる言葉は時に難解で、消化するのに時間がかかりますが、不思議と心に残りました。