森の書庫

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帰してはいけない外来患者 /前野哲博

重篤な疾患を見逃さないために

本書は後期研修医へのテキストとして編集されたもので、重篤な疾患を見逃さないための診断のポイントがわかりやすい形で整理されていました。
執筆者は熟練の臨床医と後期研修を終えて若手の医師によるチームで行なわれていて、読みやすいように様々な工夫が見られました。

 


内容は3章での構成となっていました。

1章では総論として集めるべき情報、バイタルサインなどから判断できる除外すべき疾患、緊急性や有病率から判断する優勢順位などについて具体的な例を挙げて説明していました。
2章は症状から逆引きで疾患が追えるように構成されていました。

レッドフラッグとなる「帰してはいけない患者の見分け方」や「帰してもよい患者」などについてまとめられていました。
3章では1・2章を踏まえて具体的な症例を指導医と研修医の対話の中で説明されていました。
全部で31の症例を、症状から確定診断に至るまでの過程がライブ形式で追えるようになっていました。

タイトルも「あるものが見えない?(頭痛で来院した患者が実は帯状疱疹だったケース)」などキャッチーなものが付けられていて、飽きさせないものでした。

本書はこのようにレッドフラッグについてわかりやすく整理されていました。

類書を何冊か紐解いてみましたが出色のクオリティで、著者の「わかりやすく伝えたい」という心意気を感じさせる好著です。